最近、再び Civilization IV (Civ4) の魅力にどっぷりと浸かっています。正確には、この一ヶ月間ほど、まるで時間が止まったかのように Civ4 をプレイし続け、他のことに全く手が回らないという状況です。

そこで、今回は趣向を変え、私がこれほどまでに Civ4 に夢中になる理由、そして Civ4 が持つ中毒性の秘密について、じっくりと考察してみたいと思います。

私と Civilization シリーズ

私が初めて Civilization シリーズに触れたのは Civ4 で、その後 Civ5、Civ6 とプレイしてきました。きっかけは、伝説の「つー助教授」氏のプレイ動画です。そのため、本稿では主に Civ5 や Civ6 と比較しながら、Civ4 の面白さを掘り下げていくことになるかと思います。

ただし、最初にプレイした Civilization ということもあり、少なからず思い出補正が含まれている可能性は否めません。その点はご容赦ください。

奥深い戦略性

多くの戦略シミュレーションゲームと同様に、Civilization シリーズにおいても、プレイヤーが有利に進めるための定石となる戦略が確立されてきました。Civ4 も例外ではなく、各都市を特定の役割に特化させ、いわゆる「小屋経済」や「専門家経済」を効率的に回すといった戦略が広く知られています。

しかし、私が Civ4 の特に優れていると感じる点は、Civ5 や Civ6 に比べて、戦略の選択肢、つまり定石の種類が非常に豊富であるということです。

例えば、Civ5 における強力な戦略の一つに「伝統 4 都市戦略」があります。これは、社会制度ツリーの「伝統」をコンプリートすることを前提とし、都市数を 4 つ程度に抑えるというものです。この戦略が強力な理由としては、「伝統」自体の効果が高いことに加え、都市数の増加に伴う研究コストの増大というペナルティが非常に重いことが挙げられます。さらに、無理に大帝国を築こうとすると、近隣の文明との関係が悪化しやすく、軍備維持のためのコストや操作の手間も増大します。そのため、Civ5 において「伝統」を採用しないプレイは、ほぼ縛りプレイと言っても過言ではないほどです(最近プレイしていないため、現在の環境とは異なるかもしれませんが)。

一方、Civ4 では、社会制度間にある程度の優劣はあるものの、特定の社会制度がほぼ必須となるような状況は少ないと感じます。経済のスタイルによって最適な社会制度は異なり、経済戦略自体も一つではありません。「専門家経済」は比較的早期に効果を発揮しますが、成長の限界も早めに訪れます。対照的に、「小屋経済」は立ち上がりに時間がかかるものの、最終的な生産力は非常に高くなります。前者の場合、いかにリードを活かして追いつかれないようにするかがプレイの鍵となる一方で、後者の場合、小屋が成長し切るまでをどう生き延びるかが鍵となります。

少なくとも Civ5 と比較すると、Civ4 の方がプレイヤーに与えられた戦略の自由度が高く、様々なプレイスタイルを試せる点が魅力だと感じています。

無計画な都市拡大へのアンチテーゼ

Civ6 は、私が Civ4 の次に好きな作品です。しかし、不満点を挙げるとすれば、Civ5 から大きく変化し、「とにかく都市数が多い方が有利」というゲームデザインになっている点です。都市の出力を高めるためには区域を建設する必要があり、都市を大量に抱えることに対する明確なペナルティは存在しません。住宅や快適性は都市拡大を抑制する要素として機能しますが、結局のところ、新たな都市自体が新たな住宅と快適性を生み出すため、都市を追加することが文明全体に悪影響を与えることはほとんどありません。その結果、Civ6 では、より多くの区域を建設するためにひたすら都市を増やしていく「ICS(Infinite City Sprawl:無限都市スプロール)」戦略が、多くの場面で最強の選択肢となります。

この状況に対する対応策として、Civ6 では開拓者の生産コストが生産するごとに増加していく仕組みが導入されています。しかし、このペナルティは都市を増やしていくことのメリットに比べると小さく、もし開拓者の生産に時間がかかりすぎると感じるのであれば、近隣の文明に侵略戦争を仕掛けて都市を奪えば良いという結論に至ってしまいます。結局、「都市数が正義」という根本的な構造は変わらないのです。

この点において、Civ4 は非常に巧妙なバランス調整がなされていたと感じます。

Civ4 では、都市の維持費が都市数に応じて階差数列的に増加していきます。これは、都市を建設した直後は単なる「お荷物」であり、建物や土地の改善を行い、人口を増やすことで初めて利益を生み出すようになるということを意味します。

都市が多い方が最終的な出力は確かに高くなりますが、ゲーム序盤から無計画に都市を大量に建設してしまうと、経済が破綻し、研究が大幅に遅れてしまいます。その結果、ストライキ寸前の脆弱な軍隊しか持たない状態で、次世代の強力なユニットを擁する隣国に宣戦布告され、あっという間に滅亡してしまうということも珍しくありません。

結局、Civ4 の内政がこれほどまでに面白いのは、「短期的な利益を優先するか、長期的な成長を見据えるか」という、常にジレンマを伴う選択をプレイヤーに与え続けてくれるからなのでしょう。この絶妙なバランスこそが、Civ4 の奥深いゲームプレイを生み出しているのだと思います。

生きているAI

AI 文明との外交は、間違いなく Civ4 がシリーズ最高傑作であり、勝利を掴むための非常に重要な要素でした。友好的な関係を築いた文明からは宣戦布告されにくいだけでなく、技術や資源の取引、共同での戦争など、強力なアドバンテージを得ることができました。

Civ4 以降で廃止された重要な要素の一つに「技術取引」があります。Civ4 では、研究済みの技術を他の文明と直接交換することができましたが、Civ5 以降ではこの仕組みは削除され、より効果が控えめな「研究協定」などに置き換えられました。技術取引の存在によって、たとえ自文明の研究力が低くとも、AI があまり優先しない技術をいち早く研究することで、それを元手に他の文明に転売を繰り返し、大量の技術を入手することが可能でした。そして、そのためには、ある程度研究力が高く(かつ終盤で自文明の脅威とならないような)文明と友好的な関係を築くことが不可欠でした。

また、技術取引のしやすさは、各指導者によって明確な違いがありました。例えば、徳川家康はよほどのことがない限り技術取引に応じませんが、マリのマンサムサはほぼ無条件で取引に応じてくれる、拒むことを知らない転売野郎でした。同様に、戦争を仕掛けやすい指導者も存在し、モンテスマやチンギス・ハーンといった好戦的な指導者との関係は、ゲームの勝敗を大きく左右しました。彼らと国境を接している場合、異なる宗教を信仰したり、彼らの宿敵と友好的な関係を築いたりすることは、致命的なミスにつながりかねません。

総じて、Civ4 の AI 指導者は皆、強い個性と明確な行動原理を持っており、彼らの性格や外交姿勢を理解し、それを意識した立ち回りが勝利のためには不可欠でした。Civ5 や Civ6 でも指導者ごとの特性は設定されていますが、Civ4 ほどの強烈な個性は感じられません。Civ4 の AI は、まるで生きている人間と対話しているかのような、深みのある外交体験を提供してくれました。

1UPT(1タイル1ユニット)の功罪

Civ5 以降で導入された、1つのタイルに1つのユニットしか配置できなくなったシステム(1UPT:One Unit Per Tile)についても、個人的にはあまり好ましい変更ではありません。1UPT の導入によって、どうしてもユニットの操作量が膨大になり、特に隘路などでユニットが渋滞を起こすと、ストレスを感じることが少なくありません。

確かに、1UPT のおかげで戦闘の戦略性は大きく変化しました。遠距離攻撃ユニットを近接ユニットで守りながら進軍していく必要性は、現実の戦闘における歩兵と砲兵の関係を彷彿とさせ、よりリアルになったと言えるかもしれません。しかし、そもそも文明全体の運営をコントロールするゲームにおいて、個々のユニットの配置にここまで焦点を当てる必要があるのか、疑問を感じます。

私個人としては、1UPT は「面白くないマイクロマネジメント要素」が増えたと感じています。

マイクロマネジメントからの解放

デザイナーズノートにもあるように、Civ4 では「面白くないマイクロマネジメント」を徹底的に排除するという明確な意識を持ってゲームがデザインされていました。

Civ4 以降の作品では、この重要な意識が薄れてしまったのではないでしょうか。

1タイルに1ユニットしか置けなくなった(1UPT)ことは、やはり残念でなりません。

専門家の配置確認のような多少のマイクロマネジメント要素は残ってはいるものの、全体として Civ4 はプレイヤーが戦略的な意思決定に集中できるようなデザインだったと感じます。

1UPT の導入は、Civ4 までの「デススタック(Stack of Doom)」、つまり一つのタイルに多数のユニットを重ねて配置できるシステムに対する批判から生まれたものだと考えられます。確かに、デススタックは非現実的ではありますが、本当に悪いことばかりだったのでしょうか?

デススタックの再評価

デススタック(Stack of Doom)は、確かに現実の軍隊の運用とはかけ離れたシステムかもしれません。しかし、Civ4 の戦闘システムにおいては、独特の戦略性と効率性をもたらす重要な要素でした。

デススタックのおかげで、プレイヤーは大規模な軍隊を効率的に移動させることができました。これにより、文明全体の指導者として、より広範な戦略に集中することが可能になったのです。個々のユニットの配置や移動に時間を費やす代わりに、外交、技術開発、都市建設といった、他の重要な側面に注力できたのです。

また、デススタックは戦闘の結果を比較的予測しやすくしました。オッズを見れば、おおよその勝敗を事前に判断することができたため、プレイヤーはより戦略的に戦争を始めるかどうかを決断できました。奇襲攻撃のリスクは確かに存在しましたが、基本的には正面からの戦力差が勝敗を左右するため、緻密な戦略立案が重要だったのです。

バランスの取れた奥深い戦闘システム

Civ4 の戦闘システムは非常に奥深いものでした。

地形を考慮したユニットの配置や進軍ルートの選択が、戦闘の勝敗を大きく左右します。もちろんこれは Civ4 以降の作品にも要素としては存在するのですが、ユニットを詰め込めるだけ詰め込むことが最適戦略である以上、もはやタイルの種類はほとんど無意味になってしまいました。

これもまた、1UPTがもたらした残念な点です。

結論:絶妙なバランスが生み出す中毒性

Civ4 が今でも多くのプレイヤーを魅了し続ける理由は、その絶妙なバランスの取れた複雑さにあると言えるでしょう。

  • 戦略の多様性: 一つの正解に縛られない、自由な戦略構築の楽しさ。
  • 適度なマイクロマネジメント: 過度な操作に煩わされることなく、戦略的な思考に集中できる快適さ。
  • 奥深い外交システム: AI 指導者との駆け引きや、技術取引を通じた戦略的な優位性の確立。
  • バランスの取れた戦闘: ユニットの特性、地形、昇進システムが複雑に絡み合い、戦略的な深みを生み出す戦闘。
  • 高い自由度のモッディング: プレイヤー自身がゲームをカスタマイズできる無限の可能性。

これらの要素が、Civ4 においては見事なバランスで共存しており、「簡単に始められるが、極めるのは難しい」という、中毒性の高いゲームデザインを実現しています。プレイするたびに新たな発見があり、何度でも異なる戦略を試したくなる奥深さが、Civ4 の最大の魅力なのです。

Civ5 や Civ6 も素晴らしいゲームであることは間違いありませんが、Civ4 には他にはない独特の魅力があります。それは、複雑さと遊びやすさのバランスが絶妙であるということです。このバランスこそが、長年にわたり多くのプレイヤーを Civ4 の世界に引き込み、熱狂的なファンを生み出してきた理由なのでしょう。

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